ベートーヴェンが人前で演奏した最後の作品

ベートーヴェン〜ピアノ三重奏曲第7番《大公》より第1楽章

《大公トリオ》初演 ― 1814年4月11日

ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための室内楽曲の最高峰、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番《大公》は、1814年4月11日、ウィーンのホテル「ローマ皇帝」で初演された。ベートーヴェンは44歳、作曲家として円熟の時を迎えていた。しかし、耳はもうほとんど聞こえていなかったので、かつてはピアノの名手だった彼の演奏には昔日の面影はなく、聴衆はスコアを見ないと、この曲の魅力がよく理解できなかったという。

ベートーヴェンの良き理解者であったルドルフ大公に献呈されたことで後に《大公トリオ》と命名された、この曲は全てが既成のピアノ三重奏曲を凌駕していた。優雅な主題で始まる第1楽章(アレグロ・モデラート)からして、雄大で品格の高い音楽の素晴らしさに、聴く者は感動させられる。

自信過剰のベートーヴェンではあったが、この《大公トリオ》を最後に、人前で演奏することは二度となかったという。


100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコードのために

あいつが教えてくれたことで、わたしは大人になった。あいつと一緒の時、聴こえていたレコードの音楽は、わたしの身体の中に染み渡っています。あいつがわたしの身体と心を豊かにしてくれた。 思い出の中に音楽があり、音楽の中にあいつが居る。

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